この季節になるとやってくるホトトギス。
市街地暮らしが長かった私は、4年前に郊外に引っ越してきて初めてホトトギスの鳴き声を聞いた。
夜中に「キョッキョキョ キョキョキョ」とウグイスにも似た不思議な鳴き声を初めて聞いたときは、不気味に思った。
彼らはどうやらこの地にいるウグイスに托卵をしに来ているらしい。
ホトトギスはウグイスの親がいないのを見計らって巣に近寄り、ウグイスの卵を一つつまみ出して、代わりに卵を一つ、わずかな時間で生み落としていくらしい。
ホトトギスの卵はウグイスの卵と色や大きさが酷似しており、ウグイスの巣に生み落とされたホトトギスの卵は、他のウグイスの卵よりもわずかに早く孵化して、生まれてくるなり他の卵を背中に乗せて巣から全て外に落としてしまうらしい。
そうして邪魔者のいなくなった巣で、親の愛情を独り占めすることになる。
ウグイスは実の子ではないホトトギスの子どもにせっせと餌を運んで与える。
巣に入らないほどに成長して親よりも大きな体になってもそれは続き、2-3週間で巣立っていくらしい。
ウグイスに同情してしまうが、自然界での生き残りに 正義とか倫理という言葉は何の意味も持たないのだろう。
人知を超えた本能は本当に不思議で、生物の進化はあたかもそこに意思が介在しているかのようでとても興味深い。
ホトトギスの鳴き声を聞くたびに、不思議な気持ちになる。