留学シリーズ 第八話 「911」 7/17/09


その日は午後から授業のため少し遅めの朝食を食べていた。TVをつけると突然World Trade Centerに巻くように突入する飛行機の映像。あまりに鮮明で、きっと新作のハリウッド映画だろうと思った。でも話を聞いているとそれはついさっき現実に起こった映像であることがわかった。

一機はBostonから飛び立ったそうだ。結局その日学校は休講となり、私の住んでいた近所のホテルに容疑者が潜んでいると噂になった。また市内の高層ビルは立ち入り禁止になった。私には安否を気遣って日本の家族や友人から連絡が相次いだ。

その日以来、「United we stand」と書かれた星条旗が街中いたる部屋の窓に掲げられるようになった。

私がレッスンをとっていたBassの先生はNYC育ちで、従兄弟を今回のテロにより亡くした。「こうなれば核の使用もやむを得ない、でなければこちらが先にやられる。」

テロに対する闘いの世論が高まる中、ブッシュ大統領のもとアメリカ軍は他国と共同でタリバン・アルカーイダ撲滅のためアフガニスタンへ侵攻した。

一体なぜテロが起きたのか?誰が得をするのか?

いさかいに直接関係のない巻き込まれた純粋な人々、そして沸き起こる報復への熱い想い。

この件を想い出すたびに、無力さとやるせなさがこみ上げてくる。

 

つづく

 

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